2017/01/23    17:34

トランプ米大統領の就任演説に学ぶ、日本国憲法の欠陥

アメリカのドナルド・トランプ新大統領が20日に行った就任演説は、一部の人にとっては、規格外の常識外れで、世界の新たな時代の「危険な船出」を告げるものに聞こえたかもしれない。

しかし、もし本心からそう感じるのだとしたら、私たちは、“これまでのアメリカ”が正義として宣伝してきた「ボーダレス社会」や「民主主義を広めるための戦い」や「歴史の終わり」といった言辞にあまりにもとらわれ過ぎて、「国家とはなにか」「政治とはなにか」が見えなくなってしまっているのかもしれない。

トランプ大統領の演説を自分なりに要約すれば、次の4つの点になる。
 

1.アメリカを国民の手に取り戻す

「きょうの就任式はとても特別な意味を持ちます。なぜなら、きょう、私たちは単に、1つの政権から次の政権に、あるいは、1つの政党から別の政党に移行するだけでなく、権限を首都ワシントンの政治からアメリカ国民に返すからです」
「あまりにも長い間、ワシントンの小さなグループが政府の恩恵にあずかる一方で、アメリカ国民が代償を払ってきました。ワシントンは栄えてきましたが、人々はその富を共有していません。政治家は繁栄してきましたが、仕事はなくなり、工場は閉鎖されてきました。既存の勢力は自分たちを守ってきましたが、国民のことは守ってきませんでした」
「このアメリカ合衆国は、皆さんの国なのです。本当に大切なことは、どちらの政党が政権を握るかではなく、私たちの政府が国民によって統治されているかどうかということなのです」
 

2.「アメリカ第一」の政策

「この日以降、新たなビジョンがわれわれの国を統治するでしょう。この瞬間から、アメリカ第一となります。貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国を守らなければなりません」
「私たちは2つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します」
 

3.アメリカの主義主張を他の国に押し付けない

「私たちは、世界の国々に、友情と親善を求めるでしょう。しかし、そうしながらも、すべての国々に、自分たちの利益を最優先にする権利があることを理解しています。私たちは、自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となるようにします」
 

4.イスラム過激主義を消滅させる

「私たちは古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作ります。そして、文明社会を結束させ、イスラム過激主義を地球から完全に根絶します」


トランプ大統領はこの演説で、「政治の仕事とは何か」について、2つの意味で問題提起を行っている。

ひとつには、政治家の仕事は自分たちの権益を守ることではなく、国民を幸福にすることだということ。一見すると当たり前のように聞こえる論点だが、トランプ氏がワシントンの従来の政治に不満を抱く人々の声を結集して大統領に当選し、就任演説で「いの一番」にワシントン政治との戦いを宣言したということは、「政治から忘れられている」と感じる人々がそれだけ多いということでもある。

二つ目は、政治家は自分の国の幸福にこそまず責任を負っているのだということ。他の国の人々への善意のために、自国民を犠牲にするようでは、責任ある政治とは言えないということだ。そして、国益を守ることは、それぞれの国の責任でもある。

この論点は、特に日本にとっては重要な意味を持っている。戦後の日本は、「いざとなれば、米軍が守ってくれる」という幻想のもとに、平和で豊かな時代を謳歌してきた。しかし、米軍はまずアメリカやその国益を守るためにこそあるのであって、日本を守るためにあるわけではない。万が一の時に、もし仮にアメリカが駆けつけて来てくれなくても、文句は言えない。日本を守るうえでの第一の責任は、日本人自身が負わなければならないからだ。

政治家は、自国民の幸福な生活の実現にこそ、責任を持つ――。トランプ大統領は就任にあたって、シンプルでありながら、忘れられがちな政治の本質について述べた。その内容は、日本国憲法の考え方と見事に対をなすものだ。自分たちの手で防衛するのではなく、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」国の安全を維持し、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と書かれた憲法が、いかに政治の本来のあり方から外れたものであるかをも、トランプ氏の演説は指し示している。

(筆者のブログより転載しました。)

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