2016/06/14    10:34

ドイツがイスラエルへの優遇策を見直しも

パレスチナ問題について、現在のEU議会はイスラエルとパレスチナの二つの国家の併存を軸にした外交方針である。しかし、その中にあってドイツはこれまでイスラエルを優先する構えを見せて来た。しかし、最近になってメルケル政権にその変化が見られるようになっている。
 
ドイツは第二次世界大戦後の初代首相アデナウアー政権から現在のメルケル政権までイスラエルに対し、経済そして軍面で優遇して来た。背景にはナチスのユダヤ人迫害への償いという意味がある。

しかし、最近になって、頑なにパレスチナ領土に入植建設を続けるイスラエルに対し、ドイツ国民の間ではこれまでのように無条件でイスラエルを支援して行くことに反対する動きが生まれているのだ。それがメルケル政権にも反映して、対イスラエル外交に見直しをする動きが生まれている。
 
それが具体的に現れた出来事として、今年1月の欧州議会がある。

そこで審議されていたイスラエルとパレスチナ紛争の解決案の中に、イスラエルの入植建設を反対する内容が盛り込まれていた。イスラエルのネタニヤフ首相はそれを知って、投票の前に態々ドイツのシュタインマイアー外相に電話を入れてドイツがこの解決案に賛成しないよう依頼したという。今までであれば、ドイツは投票で棄権していたように思われる。しかし、今回の投票では、シュタインマイアー外相はその解決案に賛成票を投じたのだ。

これまでもドイツの姿勢は2014年12月の欧州議会で見せたように、パレスチナ国家承認の採決でもドイツは賛成しなかった。メルケル首相の姿勢は飽くまで、まずイスラエルとパレスチナの平和裏での話し合いから始めて最終的に二つの国家の誕生に結びくつべきだという考えである。しかも、メルケル首相のイスラエルへの外交姿勢はこれまでのドイツの首相に比べイスラエル寄りがより強い傾向にある。

しかし、二つの国家の誕生に一番の障害になっている入植問題解決への取り組みに意欲を見せようとしないネタニヤフ首相。彼は、むしろ入植を促進させている動きさえ見せている。イスラエルの一番の保護国である米国でさえ変化が見られるようになって、イスラエルの違法な入植による住宅建設が拡大していることを前に、欧州議会の二国家の存在を承認した方針に米国も同調する動きを検討しているという構えを見せたのだ。

イスラエルの平和を訴えるNGO「Peace Now」の調査によると、ヨルダン川西岸地区とエルサレムのアルクッズには既に57万人のイスラエル人が入植して住んでいるというのだ(「Hispan TV」)。

そしてドイツとイスラエルの双方での暗黙の了解の中にある軍事同盟について、最近話題になった出来事がある。ドイツで建造されたドルフィン級の潜水艦が受注6隻の内の3隻がイスラエルに納入されたが、イスラエルはそれに核弾頭ミサイルが発射できるように改造したのだ。ドイツ政府はそれを事前に承知していながら建造したということらしい。また武器のイスラエルへの供給には常にドイツ政府がその費用の一部を負担しているように、この潜水艦の建造費もその一部はドイツ政府の負担であった。

また、ネタニヤフ首相にはパレスチナ問題を解決する意思が欠如していることもうかがわれる。パレスチナ自治政府が崩壊する可能性のあることを予想しているからだという。アバス議長(81才)の後継者が明確になっていないのだ。パレスチナ自治政府はヨルダン川西岸地区に存在しているが、ガザ地区と同様、イスラエル政府によってあたかも西部劇のアパッチが保留地で隔離されたように厳しい経済封鎖を強いられている。しかもイスラエルの地が自らの領土であったにもかかわらず生活を拘束されている。中東で武装過激派が増大している中で、同地区内でも武装勢力が過激化するのではないかという懸念もある。そこではファハタの武装勢力が3万人いると推定されている。

イスラエルの存続の為にはユダヤ人移民による人口の増加が必至で、また領土の拡張も必要だ。イスラエル政府は入植活動をとどめることが出来ないのである。
 
さらにイスラエルがパレスチナを支配する動きが見られるは、最近アイエレット・シャクド法務大臣が1年先にはイスラエルの法律をパレスチナ地区に適用すると述べたのである(「Hispan TV」)。その適用を前に、イスラエルの野党議員の間では、外国からイスラエルへの批判が更に強まるとして反対している。

また最近になって西岸地区でパレスチナ領土に属する地域で石油が埋蔵されていることが確認されたのだ。700万バレル分の石油が埋蔵されているという。この採油がまたパレスチナと紛争を生む要因になるのは必至である(「el Microlector」)。

イスラエルとパレスチナ紛争は二国家の成立を見るよりも、将来的にはイスラエルがまず、西岸地区とエルサレムのアルクッズを併合する可能性の方が強いかもしれない。そのような事態になれば、ガザ地区のハマスと西岸地区のファハタ武装勢力が協力してイスラエルへのテロ活動が活溌になる可能性さえある。そうなるとイスラエルとパレスチナの本格的な武力紛争にまで発展する可能性も生まれて来る。

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