2016/08/06    14:08

【習慣新書】『東京どこに住む?』(朝日新書)


『東京どこに住む?』
速水健朗・著
朝日新書
本体720円+税

 


戦後第3回目の人口東京一極集中が始まっている。

第1回が高度成長期だ。この時期の人口東京一極集中は、日本社会にとって好ましい高度成長だった。重化学工業を発達させ経済大国へと発展するためには、工業に携わる都市住民の増加は不可欠である。

第2回目はバブル期である。都会の地価と喧騒に引き寄せられるように人々は東京を目指した。

そして、現在はアベノミクスによる景気回復によって3回目の東京一極集中が起きている。筆者の見立てによれば、不景気の時には地方から東京に行くパワーが奪われるらしい。

だが、今次の東京一極集中は人口減少時代における一極集中だ。したがって前2回とは趣が異なる。

その違いこそが本書のメインテーマと言える、東京内における過疎と集中の同時進行である。

では、集中しているのはどこか?ズバリ都心だ。それも23区といった生易しい都心ではない。それは本書が紹介する平成26年の人口増減率を見れば一目瞭然である。第1位千代田区5.1%、2位中央区3.9%、3位港区2.4%である。さらに特徴的なのは、これら都心区に続くのが、敬遠されがちだった「東」の区という点だ。4位墨田区、5位文京区がともに1.5%で6位が江東区の1.4%となる。反対にバブル期には人気だった東京の郊外、いわゆる多摩地区の一部はゴーストタウン化が始まっている。

この傾向は「住んでみたい街」にも出ており、ここ数年1位が定位置だった吉祥寺が恵比寿にその座を明け渡した。それだけではない。2位の吉祥寺に続く3位が麻布十番、4位表参道とやはり都心回帰が明確になっている。

本書は、日本人は一生のうちに4~5回しか引っ越しをせず、それは先進国の中では極めて少ない数字だと教えてくれる(アメリカは平均20回ほど引っ越すらしい)。しかも、近年、人の平均所得は社会階層だけでなく住む場所に大きく依存するという研究結果もあるらしい。

郊外に住む方や東京以外の地方に住む方の心をざわつかせる本ではあるが、ライフプランを設計するためには必読の書である。

 

※筆者のブログより転載しました。

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