2016/12/09    12:07

「反戦平和教育」に対する局地戦

「反戦平和教育」は、肯定的な響きがあると思います。「反戦」と「平和」に反対する人はいないと思います。それを「教育」するのですから、とても素晴らしいものであると思わされます。

しかし、「反戦平和教育」を別な言葉で説明すれば「自分の国を守ることなど考えさせない教育」という意味になります。他国に攻められたならば、抵抗しないで奴隷になることを教えることです。

そのベースには、いわゆる「自虐史観教育」があります。歴史教科書から教員の授業内容まで、近代日本の歩みは非民主的であり、軍部が独走し侵略戦争を始めた、アジアの多くの人々に多大な迷惑をかけた、などという考えに基づきます。このような思考から「反戦平和教育」は行われます。

高校では、「反戦平和教育」は通常の授業や修学旅行の「平和教育」「平和学習」で行われます。これについては拙著『反日日本人は修学旅行でつくられる』で述べさせていただきましたが、「よきもの」という大前提に立って行われる「平和教育」「平和学習」には、日本国を毀損する思考を持った人々による「仕掛け」があるのです。

例えば、広島、長崎に行くとすれば、事前学習で被爆された方々の証言映像や「太平洋戦争」に関する映像を生徒に見せます。アニメ「はだしのゲン」を見せることもあります。それらの中には、当時の原爆の威力や今日の核兵器の実態を教える面もおあり、有用であるとは思います。しかし、見せる映像の証言者の中には政治的主張を込める「活動家」も散見されます。

また、「太平洋戦争」に関する内容も、原爆投下の原因は日本にあると認識させるものもあります。広島平和記念公園内の原爆戦没者慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」に通底する教え方をする教員は多いと思います。

生徒の反応は、「戦争は悲惨だ」「平和が大事だ」「核兵器は廃絶すべきだ」というような善良で可愛らしいものがほとんどです。それを見て教員は「生徒は平和の大切さを理解した」と受け止め満足します。

修学旅行で人気の沖縄に行く場合は、事前学習で沖縄戦の講話や映画視聴などを行います。現地では南部戦跡のガマ体験(ガマのガイドの説明を受ける)、ひめゆりの塔・資料館見学、摩文仁の平和祈念公園・資料館見学(バスガイドの案内・説明)が一般的です。最近では、沖縄の大学生に米軍基地の様子を説明してもらい、基地問題を考えさせる取組も出てきています。

ガマの説明ガイドは、高校生になめられまいと思うのか、必要以上にショックを与えるような内容を話す場合があります。実際に人が死んだこともあり得るガマの暗闇の中で、悲惨な出来事をおどろおどろしく語られれば、繊細な生徒や霊感の強い生徒は泣き出してしまうなど、強いショックを受けます。ガイドさんの中には、話の内容が「持ちネタ」になっていて、説明しているガマには関係のない出来事まで「盛って」話すこともあります。バスガイドさんも「琉球新報」から取ってきたような一方的案内をすることが多いと思います。

さらに、平和祈念公園内資料館の展示内容にも疑問を感じます。簡単に言えば、「日本軍=悪=自衛隊」「沖縄は琉球処分、沖縄戦で本土の犠牲になり、今も基地を押し付けられ犠牲となっている」というメッセージが覗えます。沖縄県の教師の一部にも改善の必要を感じている方々がいると聞いています。
 
さて、このような現状の中で、私が今年度の沖縄修学旅行にどのような対応をしたかを述べさせていただきます。

第1には、琉球王国から今日に至るまで歴史をまとめた『沖縄の歴史』(カラー版、A3版、全10号)というプリントを作成し(めちゃめちゃ勉強しました)それを校長室前に掲示し、さらに全10号を製本し図書館に20部置いてもらい、修学旅行の主担当の2学年教員と学年主任にも渡しました。

それが奏功し、学年から2年生全員(320人)に対し、校長から沖縄の話をしてほしいとの依頼がありました。これが第2です。そして、依頼を受けてから2カ月かけてPPTスライド77枚に及ぶ映像を含む資料を作りました。
(1)14世紀からの琉球王国の歴史
(2)琉球処分から沖縄戦
(3)戦後の沖縄の歴史
(4)今日の沖縄をめぐる問題

以上の構成で60分講演をしました。(4)に関しては、基地と沖縄経済自立、普天間移設問題、基地反対運動の実態、日本を取り巻く国防上の危機などの論点を述べました。生徒の感想で一番多かったのは「沖縄ではみんな基地に反対していると思っていたが、必要と考える人、賛成・容認する人も多くいることを知った」というようなものでした。

第3には、バス会社、ガマのガイド団体への牽制です。旅行業者を通して、事前に校長名で文書にて申入れをしました。内容は、

(1)対立する意見・見解のある事項に関して説明する場合は両論を提示する
(2)歴史的事実の認定されていないこと(軍命による住民集団自決)には言及しない
(3)公教育の教育活動としての修学旅行であることから(1)(2)を守って頂きたい
というものです。

以上、勤務校における局地戦の内容です。

いわゆる「反戦平和教育」を封じ込めることはできたと思います。しかし、あくまでも局地戦に過ぎません。もっと大局的な活動をしたいと熱望します。その機会が来る日を夢見て腕を磨いておきます。

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