2016/10/16    17:44

【書評】 帰化申請中の在日韓国人が考えた、「日本人として生きる」ということの意味


『「親日の在日」として』
呉亮錫・著
LUFTメディアコミュニケーション
本体1600円+税


「学校では教えてくれなかったこと」が語られている。

読後は「民主主義とは何か」「日本人とは何か」について、まるで5回分の特別授業を受けたかのような充実感があり、「高校生に読んでもらいたい」という、率直な感想を持った。

本書は、「第8回 真の近現代史観懸賞論文」(アパ日本再興財団主催)において、佳作を受賞した論文を加筆して収録している。

筆者は、在日韓国人(以下、在日)という複雑な立場で生まれ、日本への帰化を申請中。家庭教育で刷り込まれた「日本人は在日の祖先を強制連行した悪い人たちだ」という認識を乗り越えて、日本という国の良さに気づき、自身のアイデンティティを発見していく過程を、本書でつまびらかにした。自分たちの国の歴史を誇れない「自虐史観」は、日本人も韓国人も、そして在日も、それぞれが抱えている問題で、それをお互いに克服しなければ、東アジアの明るい未来は開けない、という指摘は興味深い。

日本人にとって、「反日の在日」の存在は悩みの種だ。一部には、北朝鮮のスパイ活動に加担するような勢力もある。だが一方で、「在日」と生まれた個人の誰も彼もが、「特権」を振りかざし、日本社会の破壊を願っているというわけでもない。筆者は、日本のことを愛する在日はむしろ日本社会の仲間なのだから、協力し合いながら、どうすればよりよい社会を築いていけるのかを、ともに考えることが肝要だと論じている。

筆者は、在日が日本に帰化し、この社会のメンバーとして責任を果たしていくことを勧めている。帰化したかどうかにかかわらず、筆者と同じ在日という立場に生まれた人にとっては、自身の経験に照らして、なにか新たな発見があるかもしれない。

一方、本書は日本の社会のあり方について考えるうえでも、示唆に富む。これから日本人になろうとしている筆者は、「新しい日本人」になるためには、どのような考え方が必要なのかを探究して本書を著した。日本文化への理解はもちろんだが、より本質的には、「日本人であるからには、自分の国は自分で守らなければならない」という事実を避けては通れないと指摘する。国防を語ることがそもそもタブーであった戦後の日本人には、なじみのない議論かもしれない。だからこそ、その大事な議論と向き合うために、本書では論点が極めて丁寧に書き込まれている。

日本社会が抱える悩みを解決するヒントを、さまざまな角度から提供してくれる一冊だ。

http://go-ryoseki.tumblr.com/

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