2016/09/02    13:38

​24時間テレビとNHKのバリバラ問題――「何をみるか」という視点の話

日本テレビ系列の24時間テレビが今年も幕を閉じた。この番組が近付くと、必ず出るのが偽善だとかチャリティーなのに高額ギャラで出演するのはおかしいといった批判だ。私は、この手の批判は、どんなチャリティーをやっても出てくる批判(無料で出ても、売名だという方が出てくる可能性大)だと思うので、特に取り上げるつもりもないし、個人的には行動する人たちを、行動しない人たちが批判するのはいかがなものかと考えている。実際、この番組からの寄付で災害救助犬輸送車が贈呈されたことには、本当に心からの感謝をしている。

 
ところで、その24時間テレビ批判の中に、今年は変わった批判があった。それは、NHKのEテレの番組「バリバラ」で、障害者で感動させるのは「障害者ポルノ」だという見解がなされたという批判である。実際、障害者の方からの声であったということなので、耳を傾ける必要があると思い、報道されているものや、ネット上掲載されているものをいくつか読んでみた。24時間テレビの裏で放送されたバリバラの冒頭で、障害者がこんなメッセージを送ったという。
「手がない女の子が口にペンをくわえて絵を描く姿」「カーボンファイバーの義肢で走る子ども」など、障害者が自らの障害に負けず懸命に立ち向かっている姿を見て感動する。だが、その感動の中に「自分の人生は最悪だけど、下には下がいる。彼らよりはマシ」という視点があるのではないかとステラは指摘する。障害者は健常者に勇気や感動を与えるための道具、すなわち「感動ポルノ」になっている。
 
私は、24時間テレビで感動を覚える人間だけれど、少しこのメッセージには違和感を覚える。「下には下がいる、彼らよりはまし」だとは決して思わない。何に感動をするかというと、そのチャレンジをする精神力に感動を覚えるのだ。例えば、遠泳等であるが、健聴者遠泳をするよりは、倍以上の努力が必要だし、倍以上の精神力を要すると思う。結果をみれば、健聴者にとっては、普通より少しすごいなという程度かもしれないが、そうではなくて、その過程の努力と精神力に私は「偉人並みの努力」を垣間見て、感動をするのだ。そこには、「下には下がいる、自分の人生は彼らよりはマシ」という感覚などと微塵もなく、
「それほど努力をせずに、のうのうと生きている自分への反省」があり、「明日からはもう少し、彼らに恥じないようもっと一生懸命に生きよう」という心の飛躍があるのだ。
 
「下には下がいる、彼らよりはマシ」とか「障害者を見世物にしている」と批判する方々は、あくまでも「肉体」しか見ておらず、目に見える「結果」に視点があるが、私の感動は違う。彼らの精神力と努力する心という目に見えない感動を覚えるのである。障害児支援運動のひとつの「ユーアーエンゼル運動」というものがある。
「傷害はあっても魂は健全」というこの活動から、国学院大学の柴田教授の「指文字」で重度の障害者の声を聴くという方法を知り、その事例紹介をいくつか読んだが、しっかりと「意思」があり、「心」があり、それは健聴者にも劣らないものだった。
 
24時間テレビに出演する方々は、知的障害というよりは身体に障害を持っておられる方が多く、そういう方の心が健全なのは当たり前だろうという声もあるかもしれないが、体が健全であっても、努力することをやめてしまい、毎日流されて生きている人もいるだろうし、周囲や環境のせいにして前に進むことを諦めてしまっている人が多い現代において、彼らのチャレンジする力、努力する力、精神力、周りの人々への感謝の心は、その質と量をみたときに人々に感動を与えるに足りるものであると思う。
 
それは決して、「障害ポルノ」と言われるものではなく、本当に「偉人レベル」の精神の力を見せてくれているものなのだ。だから多くの人の感動を呼ぶのである。だから、出演する人たちに同情する必要もないし、見世物にしていると卑下する必要もないと思う。障害を持っていても、私たちの魂は健全だということを正々堂々を発信していただきたいし、堂々とそれに感動する自分でありたいと思う。
 
もちろん、それぞれの番組に対しては尊重するし、どちらが正しいというものでもない。ただ、批判に終始するのではなく、それぞれの発信するメッセージとそれぞれの番組が障害者に対して考える機会を提供している点を評価したいと思うのだ。

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