2016/09/15    14:03

国会議員が外国人でなぜいけないのか?――蓮舫氏の「二重国籍問題」が問うていることの意味

イギリスの中央銀行総裁は、カナダ人である。実力のある人材を世界からオープンに集めようと、イギリスが総裁を公募したところ、選ばれたのが、カナダの中央銀行で総裁を務めていたマーク・カーニー氏だった。
 
こうした例もあるように、「政府の要職者は必ず自国の人物でなければいけない」というわけではない。もちろん国全体を預かる首相や大統領であれば、おのずからハードルは高くなるし、国民の合意が必要であることは言うまでもない。しかし、有能さを買って仕事のできる外国人を雇い、政府の仕事をしてもらうことは、まったくの荒唐無稽とも言い切れない。
 
むしろ考えたいのは、バブル崩壊からの経済停滞を20年以上にわたって長引かせ、1000兆円以上の借金をつくってしまった日本政府の現状である。しかも現政権には、公共事業や手当てを拡大するといったお馴染みの方法や、禁じ手であるはずのマイナス金利をさらに拡大することくらいしか、対策が思いつかないらしい。そうであれば、いっそ世界企業を切り盛りした実績のある経営者でも国外から呼んできて政府に参加してもらった方が、効率のよい運営ができるのではないかと、ため息のひとつでもつきたくなる。
 
一方で、たとえばマイクロソフトのビル・ゲイツやGEのジャック・ウェルチといった名だたる経営者を呼んでくるとすれば、莫大な額の請求書が財務省に送られてくるかもしれない。費用対効果がどこまであるのかは、実際に招へいする前に、慎重に計算する必要はある。
 
他にも、外国人が国の要職に就くことがあり得る場合としては、周辺国との政治統合がかなり進んだ時のことも考えられる。国民投票を行ったイギリスをはじめ、各地でEU離脱の火種がくすぶる中にあってはもはや夢のまた夢だが、フランス人がドイツの閣僚になったり、逆にドイツ人がフランスの閣僚になったりすることも、欧州統合の一つの未来像だろう。
 
戦前の日本は朝鮮半島を領土の一部としていたが、国会には内地の選挙区で選ばれた朝鮮人の議員も存在したし、中央省庁に登用される朝鮮人もいた。終戦で叶わなかったが、日本政府は朝鮮や台湾に衆議院の選挙区を設け、衆議院議員を選出する準備を進めていた。内地と外地との垣根がさらに低くなれば、朝鮮出身の大臣が生まれるようなこともあり得たかもしれない。もっとも、当時の朝鮮人は厳密には「日本人」ではあったが、こうした例も、“外国人”が国の要職に就く例の一つと言えるだろう。
 
これらのことはもちろん、民進党の代表選でクローズアップされた、蓮舫氏の二重国籍問題を念頭に書いている。蓮舫氏は閣僚経験者であり、野党第一党の代表となれば首相候補の筆頭ということになる。そうした人物が、二重国籍者でいいのかという問題である。発言が二転三転したこともあって、党代表はおろか、国会議員としての資質にも疑問符がつけられている。
 
しかし、これまでに見てきたように、“外国人”が国の要職に就くことは、必ずしも歴史的に100%の「ノー」とは言い切れない。だから、むしろこの論争があぶりだしたのは、民進党の体質や蓮舫氏の考え方が信用ならないということの方だろう。
 
国会議員や大臣はまず国民のために奉職する立場であって、外国のために働いたり、外国政府の意向に左右されたりすることは許されない。ところが民進党は親中派の政党として知られ、民主党として政権にあった時には数百人の議員訪問団が中国に“朝貢”しに出かけたこともある、以前から国家観を疑問視されていた政党である。その党の次の代表候補が二重国籍となれば、厳しく追及されるのは自然のなりゆきだろう。
 
もし仮に蓮舫氏が、「日本が好きで好きで、日本人になった」と公言する普段からの親日家で、議員としての実績も申し分ないものであったなら、追及する側も少しは手を緩めることもあったのかもしれない。しかし同氏は、「(日本の)赤いパスポートになるのがいやで、寂しかった」と、日本国籍を取得する際の感想について語っている。さらには、二重国籍の問題を当初は隠そうとし、発言が一貫しないなど不誠実な印象を与えてしまった。
 
蓮舫氏といえば民進党の次世代のエースと目されてきたが、その彼女が国会議員としての資質にかかわる問題で追及を受けたことで、民進党が政権に戻るためのハードルはさらに高くなったと言えるだろう。
 
しかし、この問題で一ついいことがあったとすれば、それは何より、国会議員や政府がまず第一に日本国民のために働く人物でなければならないという当たり前の事実を明らかにしたことだ。国民のために身を捧げて働く人物がかじ取りしなければ、国家は成り立たない。たとえその人が日本人であっても外国人であっても同じである。国籍問題の以前に、民進党や蓮舫氏が問われているのは、そうした根幹的な問題のように思える。

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