2016/08/06    08:00

稲田氏に防衛相としての働きぶりを期待したい

「ポスト安倍」の最有力候補の一人と目される、稲田朋美氏が防衛相に就任した。稲田氏は安倍晋三首相と歴史認識などで立場が近く、就任早々、中国や韓国では「右翼の女性政治家」などと、警戒感をもって報じられた。
 
その稲田氏は、国内メディアのインタビューに対して、中国や韓国との対話の場を積極的に設けていきたいと、両国との協力関係を築くことに意欲を見せている。

中国、韓国との協力的な関係を築くことは不可欠だ。話し合いの場を自分から設けていきたい。議論することで私への誤解も払拭されるのではないか。機会があれば訪中したい。

安倍政権にとって、稲田氏を防衛相に起用したことの意味は大きい。安倍氏は首相へのカムバック以来、歴史認識に関しての「未来志向」の談話を新たに出すことを目指していたが、国内外の注目の中で昨年、発表された「安倍談話」は、歴史認識の見直しと呼ぶにはほど遠い内容だった。
 
その年の年末には岸田文雄外相を訪韓させ、政府として元慰安婦に「心からおわびと反省の気持ち」を表明したほか、10億円を拠出して元慰安婦の支援を目的とした財団を設立することで、韓国側と合意した。こうした動きが、「日本政府は、戦前に軍が慰安婦を強制連行したと認めた」ととらえられかねないとして、安倍首相を支援するグループなどからも批判の声が上がった。
 
稲田氏の防衛相への起用は、中国や韓国が歴史問題をめぐって日本を攻撃していることに対して、もう一度、“反撃”体制を整えるための、仕切り直しという意味合いが透けて見える。特に、防衛相というオフィシャルなポストに就けたことで、稲田氏の立場を諸外国も簡単にあしらうことはできないだろう。
 
だからこそ重要なのは、稲田氏の防衛相としての働きぶりである。稲田氏に対しては、一部の国や海外メディアが、歴史認識をめぐっての批判を事あるごとに繰り返すことが予想される。そうした批判に対しては、冷静に、自身の仕事ぶりによって答えていかなくてはならない。
 
安倍首相にしても、当初は「右翼のナショナリスト」「ファシスト」といった強烈なレッテル貼りに遭った。しかし、アベノミクスのビジョンによって諸外国を驚かせ、着実な外交政策によって諸外国との関係強化を進め、国政選挙での勝利を積み重ねて長期政権の礎を築くことで、「批判のための批判」をある程度、黙らせることに成功したことは、一つの成果と言えるだろう。
 
重要ポストに就いた稲田氏も、各国のカウンターパートとの対話を進める中で、日本の防衛相としての着実な信用を積み上げる必要がある。それによって、稲田氏を歴史認識で攻撃しようと待ち構えている人々に対して、言葉尻をとらえた揚げ足取りが無用だと悟らせなければならない。
 
稲田氏が防衛相に起用されたのは、確かに安倍首相と歴史認識が近い腹心だからかもしれない。しかし、この人事の成否を占うのは歴史問題での発信ではなく、本来の職務である防衛相としての働きぶりの方である。

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