2015/11/09    10:00

【社説読み比べ】 日中韓首脳会談――朝日、毎日はお決まりの「安倍批判」

安倍晋三首相は1日、韓国の首都ソウルの青瓦台(大統領官邸)で、中国の李克強首相、韓国の朴槿恵大統領との3年半ぶりの3カ国首脳会談首脳会談を行い、会談の定例化を確認。来年は、日本が議長国として開催することで合意した。

採択された日中韓共同宣言では、「歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、諸課題に適切に対処して2国間関係を改善し、2か国協力を強化するために協力する」ことや、日中韓自由貿易協定(FTA)について、交渉を加速していくことで一致した。

3カ国首脳会談について、大手紙の社説を読み比べてみる。
 

各紙の見出し
朝日 日中韓首脳 停滞抜けて再出発を
毎日 日中韓首脳会談 協力深化を共通利益に
日経 中韓との関係修復への努力を続けたい
読売 日中韓首脳会談 東アジア安定へ対話を重ねよ
産経 日中韓首脳会談 真の「未来志向」はなお遠い…


 

朝日・毎日:関係悪化させたのは安倍首相?

朝日新聞は、「日中韓の指導者は、歴史や領土の問題をあおり、ナショナリズムを国内向けに利用する振る舞いを慎むべきだ」と述べながら、「日本としては、歴史を直視する姿勢を揺るぎなく継続」すべきだとして、暗に安倍首相を批判したいようだ。

たしかに日中韓の間には歴史認識や領土の問題が横たわり、波風が立ちやすい。だとしてもたびたび首脳会談が止まり、政府間でも民間でも交流を滞らせるようでは、いつまでも関係を成熟させることが出来ない。

日中韓の指導者は、歴史や領土の問題をあおり、ナショナリズムを国内向けに利用する振る舞いを慎むべきだ。日本としては、歴史を直視する姿勢を揺るぎなく継続し、わだかまりなく日中韓が協力できる環境を整えておくことが重要だろう。

中韓首脳も、日本との歴史を政治カードにするような行動は控え、理性的に互恵関係をめざす指導力を示すべきである。

その意味で3首脳が「歴史を直視し、未来に向かう」とし、会談の定例化を再確認したことには意味がある。
(朝日新聞 「(社説)日中韓首脳 停滞抜けて再出発を」 2015/11/02)


毎日新聞は、露骨な安倍首相批判を展開している。

中韓の反日姿勢を指摘しつつも、「政権発足当初、『歴史修正主義者』との誤解を与えかねない言動を重ね」たとし、「安倍外交は、日中、日韓関係が改善できないため、他の地域に比べてアジア外交が不十分だった」と述べている。

安倍首相は、政権発足当初、「歴史修正主義者」との誤解を与えかねない言動を重ね、中韓両国の警戒感を招いた。

中国は、日中の歴史を国際問題にしようとしたり、尖閣周辺の日本の領海に公船を侵入させたりしてきた。歴史や領土で強硬な態度を示し、そのことを習近平国家主席による国内の権力基盤固めに利用したとの指摘もある。

朴大統領は、慰安婦問題で前進がなければ首脳会談に応じないという、かたくなな姿勢を取り続けた。(中略)

安倍外交は、日中、日韓関係が改善できないため、他の地域に比べてアジア外交が不十分だった。ようやく外交環境が整ってきたと言える。

歴史認識や領土の対立は、簡単に解決できるものではないが、肝心なのは、こうした難しい政治課題に国同士の関係がすべて左右される事態に陥らないようにすることだ。
(毎日新聞 「社説:日中韓首脳会談 協力深化を共通利益に」 2015/11/02)

 

日経:信頼関係のカギは中国

日経新聞は、「FTA交渉」の話題を中心に、3カ国の経済協力の進展に期待しつつ、日韓それぞれが中国に配慮していることを指摘。中国側に歩み寄りを呼び掛けている。 

実におよそ3年半ぶりの開催である。過去のあつれきをすべて水に流し、直ちに関係修復とはいかないのは当然だが、それでも中国、韓国と日本の間の溝を多少は埋められたのではないか。(中略)

会談後の共同記者発表では、朴大統領、李首相がともに「歴史を直視する」という文言を強調し、歴史問題で日本にクギを刺す場面があった。一方で中国への配慮だろうか。米国と中国の間で緊張が高まる南シナ海情勢など、論争になりかねない案件は日中韓会談の議題にならなかったという。

李首相は「政治的な相互信頼を高めたい」という。そうであれば、互いの懸念も胸襟を開いて語り合うことこそ、真の信頼醸成への近道ではないだろうか。
(日本経済新聞 「(社説)中韓との関係修復への努力を続けたい」 2015/11/02)

 

読売:日米同盟が効いている

読売新聞は、日中関係に焦点を当てつつ、3カ国が協力体制を強化するにあたっても、日米同盟を背景にしたアメリカの働きかけが欠かせないことを指摘している。

首脳会談が実現した背景には、米国の韓国への働きかけや、中韓両国の経済停滞などがある。

3首脳は、自由貿易協定(FTA)交渉を加速させることで一致した。日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を意識したものだろう。(中略)

李氏は会談で、歴史認識に関し「一部の国の間では深い理解が成り立っていない」と語った。日本を牽制した発言とみられる。(中略)

安倍首相は、中国による南シナ海での人工島造成と軍事拠点化について、懸念を表明している。

米海軍は「航行の自由」を体現するため、人工島周辺で艦艇を航行させた。中国は反発している。だが、国際法に反し、力による現状変更を試みる中国側に非があるのは明らかである。

日本は米国と協調し、中国に自制を粘り強く促す必要がある。
(読売新聞 「(社説)日中韓首脳会談 東アジア安定へ対話を重ねよ」 2015/11/02)

 

産経:日本は正当性を訴えよ

産経新聞は、中韓の頑なな反日姿勢を批判する一方、国際社会のルールを無視している中国に対して、「国際法や主権の侵害に関する重大な懸念を内外に訴えない日本を、国際社会がどうみるか」と、日本政府の弱腰に疑問を呈している。

一方、「未来志向」は「歴史の直視」が前提とされた。これからも3カ国首脳会談を日本牽制の場にしたいのだろうか。そのようないびつな関係で、真の協力など実現できない。

安倍首相が「特定の過去ばかりに焦点を当てる姿勢は生産的でない」と述べたのは当然である。(中略)

(南シナ海情勢は)国際社会がより強い関心を寄せている問題でありながら、当事者を含む3カ国首脳会談で取り上げなかったというなら、きわめておかしな姿ではないか。

さらに不可解なのは、その後に行われた日中首脳会談で「懸案の諸問題については、互いに内容を公表しない」とされたことだ。安倍首相は会談で、南シナ海問題についての懸念を伝達したとみられるが、なぜこれを伏せるのか。

中国は尖閣諸島周辺で公船の領海侵入を繰り返し、東シナ海ガス田の開発を一方的に進めている。国際法や主権の侵害に関する重大な懸念を内外に訴えない日本を、国際社会がどうみるかである。
(産経新聞 「【主張】日中韓首脳会談 真の「未来志向」はなお遠い…」 2015/11/02)


今回の首脳会談について、朝日・毎日の2紙は相変わらず安倍政権批判を展開しているが、他3紙は、それぞれ異なる視点で解説していて興味深い。

日経、読売、産経の社説の論点を取り入れてまとめるならば、「安倍首相は、毅然とした態度で、アジア地域での中国の横暴や韓国の虚言をはっきりと指摘し、強固な日米同盟を基軸に、日本が世界の平和と発展を願い、真摯に努力をし続ける、経済的にも安定した一流国であることを、強く国際社会に訴える必要がある」ということではないだろうか。

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