2016/12/13    12:16

国が税競争を進めねばならない理由

前回の記事に引き続いて、なぜ国は税競争を進めねばならないのかについて書いていきたいと思います。

そのためには、まず税競争と税調和について解説しましょう。

税競争(Tax Competition)とは、国や自治体が住民や企業を惹き付けるために税金を低くしようとする動きのことです。市民や企業からすれば税金が低いということは非常に魅力を感じます。それは簡単な話ですが、税金が低くなることにより、自らの可処分所得や利益が増えるからです。

反対に税調和(Tax Harmonization)とは、前回の記事で指摘したソーダ課税のように、課税の輪を国際的に広げることです。例えば欧州連合に加盟するためには付加価値税を創設しなければなりませんが、これも税調和の一例と言えます。

 

■税競争はいけないこと?


『国が「税競争」するのは誤り』という記事が国際公務労連(Public Services International,PSI)という国際的な労働組合ののサイトに掲載されていました。記事の一番重要な部分を抜粋してみましょう。

税「競争」は、実はどこを見ても有害なものであることがわかる。まず、税金の変化に合わせて移動する人々はほとんどいないが、気まぐれな金融資本は実際に動く。政府は、移動できる資本に対する税率を下げて、「競争」する(つまり、金持ちへの課税が軽減)。金持ちに課税しなければ、別のところでその穴埋めをしなければならない。それはどのように行うのだろうか。移動する余裕のない人々、文句を言えない立場の人々に課税するのだ。貧しい人々は最終的に、より多くの税金を払うことになる。

つぎに、税「競争」は大企業にメリットをもたらすが、それは不公平で非生産的である。「競争力」のある税制はどれも租税回避の体質がある。回避方法は、低税率を通して、税金の抜け穴を使った節税などがあるが、こうした節税に与ることができるように、税金専門の高額な弁護士や会計士を雇うことができるのは、通常、大きな多国籍企業だけだろう。多国籍大企業は、オフショア制度を利用して、規模の小さい地元密着型の競争相手を追い込む。純粋なビジネスの生産性や真のイノベーションとは全く関係のない要因でこうしたことが動くのである。

『国が「税競争」するのは誤り』
国際公務労連HPより抜粋

ここに書かれていることは、一般的な意見であると言えます。しかし、この意見は非常に問題があると言えます。

 

■金持ちに課税することはフェアなのか


記事では、『金持ちに課税しなければ、別のところでその穴埋めをしなければならない。それはどのように行うのだろうか。移動する余裕のない人々、文句を言えない立場の人々に課税するのだ。貧しい人々は最終的に、より多くの税金を払うことになる。』とあります。

もし、貧しい人々に課税することを非とするなら、金持ちに課税することをも非としなければなりません。そうでなければ、金を持っているということ、ただそれだけで差別をしているということになります。これは、貧しい人々が努力をして豊かになることを妨げることにも繋がるのです。

 

■基本は「皆等しく、税金は少なく」


私はレーガン大統領を真に偉大な大統領であると考えていますが、それは、統治の原則を端的な言葉でこう定義したことにあると考えています。

「どれか一つのグループが高い代償を支払うために選び出されるようなことがあってはならない。(The solutions we seek must be equitable, with no one group singled out to pay a higher price.)」

金持ちも、貧しい人も同じ低税率で簡素な税制であることが望ましいのです。

低税率で簡素な税制であれば、中小企業であろうとも大企業と同じ土俵に立って市場で堂々と競争することができるのです。
 

■決め手は「棚卸し」


問題は高い税金と複雑な税制、非効率な行政機関にあることはもう40年以上も前に分かっていたにも関わらず、事態が一向に進展しないのは、以前の記事で指摘したように、政策立案の手法である政策分析に「棚卸し」の考えがないためです。

政治家がいくら改心しても一向に事態が好転しないのは、政策を作る側に財政の全体像を見極める手法がないためなのです。税制をよくする第一歩は、財政の全体像を把握し、できる範囲の政策を立案して行うという態度にこそあるのです。
 

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