2017/01/18    08:20

教科書誤報事件と「近隣諸国条項」 自虐史観の根本問題 ―受けて立つ!歴史戦 3-

1982(昭和57)年6月26日の新聞各紙は、以下のように報じました。
 
『朝日新聞』は一面で「教科書さらに『戦前』復権へ」「文部省 高校社会中心に検定強化」「『侵略』表現薄める」と報じ、社会面の「こう変わった高校教科書」と題する検定前と検定後の記述を比較する表で、「日本軍が華北を侵略すると…」が「日本軍が華北に進出すると…」に変わったとした。

『毎日新聞』は「教科書統制、一段と強化・過去の日本、正当化・“自衛隊合憲”の記述定着」

『読売新聞』は「自衛隊成立の根拠を明記・明治憲法の長所も記述・中国『侵略』でなく『進出』
 

文部省(当時)による教科書検定で、実教出版高校世界史教科書が「侵略」との表記を「進出」に変えるよう検定意見を付けられ、そのように表記を変えさせられたというものです。

しかし、その「事実」を検証してみても「侵略」を「進出」に書き換えるような検定意見はなく、「進出」とした記述は教科書会社(教科書執筆者)自らによるもので、日本テレビ記者の勘違いが記者クラブに広まったことによると判明しました。

日本国内では、新聞記事が出されてからいくつかのメディアが、中国や韓国に“御注進”に及んでいます。これに対して、中国はなぜか一ヶ月の沈黙ののちに(7月26日)、突然中国外交部の日本批判キャンペーンが始まることになり、日本公使に抗議が入ります。さらに同日、中国教育部は日本の教科書検定の責任者である文部大臣の訪中招請を発表します。この段階で中国教育部は教科書問題が二国間案件として提起されることを知らなかったと思われます。中国のこの「一ヶ月の沈黙」の理由は後述します。
 
7月28日、30日、新聞各紙が検定で『侵略』を『進出』と変えた例はないことが報じられます。
国会では文部省教科書検定課長藤村和男氏が同様の答弁をしています。

8月1日、中国教育部が日本の文部大臣の訪中取り消しを通告してきます。(教育部にも教科書問題が二国間案件と認識されたようです。)

8月26日、悪名高い「宮沢官房長官談話」が発表されます。それは、

「我が国教科書の記述について批判が寄せられている。我が国としては、アジアの
近隣諸国との友好、親善を進める上でこれらの批判に十分に耳を傾け、政府の責任において是正する」

 
というものです。
「近隣諸国」とは具体的には「中韓」を中心とする国々です。

この談話が基で「近隣諸国条項」がつくられますが、談話を出した背景には、鈴木善行首相がこの年の9月26日から訪中する予定があり、それを穏便に済ますためという理由があったと考えられます。

8月28日、日本の文部・外務の二局長が北京に出向いて一連の詳細を説明します。また、「宮沢官房長官談話」を示すが、中国側はこれを拒否して受け入れません。鈴木善幸首相の訪中に関して中国は受け入れに微妙な態度をとります。
 
ところが、9月8日、一転して日本側が再度宮沢談話の説明を行うと中国側はこれを受け入れ、鈴木首相訪中を容認論調に変わります。

7月を中心とした中国の日本の教科書問題への沈黙の事情を説明します。

・9月1日から11日にかけて、中国共産党は十二全体会を開いていました。

・文革右派の華国鋒と近代化推進派の鄧小平・胡耀邦の争いの中で、近代化推進派が体制を固めた大会でした。近代化推進派は、文革右派(保守派)からの攻撃をかわすために、日本をスケープゴートとして対日批判キャンペーンを行います。

・つまり、7月の中国側の沈黙は、キャンペーンを開始するか否かの検討期間であり、キャンペーン開始のゴーサインは鄧小平自身が出したといわれています。8月中に日本をたたき、保守派の批判をかわし、9月下旬の鈴木首相訪中までに収拾するとの明確な指示の元に行われたと考えられます。
 
このように、誤報による教科書問題は一部メディアの「御注進」もあり、中国政府は主導権争いのための「政争の具」として利用したのです。それをアシストした形になったのが「宮沢官房長官談話」です。国益を損なう迎合というべき所業です。
 

そして、1982年11月、「宮沢談話」を受け、いわゆる「近隣諸国条項」が「義務教育諸学校教科用図書検定基準」と「高等学校教科用図書検定基準に関する規定」に加えられました。

その内容は、「教科書の検定において近隣アジア諸国とのあいだの記述については、国際協調と国際理解の見地から必要な配慮をする」、すなわち「中国や韓国の主張を教科書記述に入れることができるようにする」(自国の教科書検定を外国に委ねる)というものです。「中国では~といわれている」「韓国は~と主張している」ということを根拠に、歴史教科書記述がなされ、教科書検定をパスすることになるのです。
 
複数の歴史教科書作成会社の方に聞いたところでは、どの部分が「近隣諸国条項」に基づく記述かは知らされないとのことでした。「南京大虐殺」と「30万人虐殺説」を紹介する場合などは中国の主張によるもので、「近隣諸国条項」の適用といえるでしょう。
 
明星大学高橋史朗特別教授によれば〈「教科書制度と近隣諸国条項を見直せ」(『正論』平成11年3月号)〉、「近隣諸国条項」前後の歴史教科書検定の変化として、以下のような変化が見られたと指摘しておられます。
 


家永三郎の高校日本史教科書に対する検定(1981年、「誤報事件」の前年)
検定前記述:「南京占領直後、日本軍は多数の中国軍民を殺害した」
↓   ↓   ↓   ↓
文部省修正意見:「軍隊として組織的にやったものとは信じられない」
「『日本軍は』というと、日本軍として組織的にやったかのような文章になる」
 

国書刊行会『最新日本史』(高校 1986年)
・南京事件の記述について
文部省修正意見:「同事件があったかなかったかというような論に至らないような記述、表現上の配慮をして欲しい」(つまり、南京大虐殺があったと表現せよということ)
「『日本軍が』という主語が欲しい」


「近隣諸国条項」は、「自虐史観教育」を形成する根本原因です。

このような愚策を導入した政治家や官僚に憤りを強く感じます。これをなくしたからといって「自虐史観」が払拭されることはありませんが、国家として外国に教科書検定を委ねるような法令を持ち続けることは世界の非常識です。政治家は是非、「近隣諸国条項」の撤廃と「宮沢談話」否定をしていただきたいと思います。

参考までに申し上げますと、沖縄の左翼大学教員を中心とする市民団体は国に「沖縄条項」の導入を求めています。つまり、「沖縄では軍命により住民が自決を強要され亡くなった」とか「沖縄戦では住民が日本兵に虐殺された」などの一部の人たちの主張を教科書に記述せよ、ということになります。

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